文章を書くときはテキストエディターより Word の方が良い理由 — 文章校正機能まとめ
最近はテキストエディターと Markdown 記法でドキュメントを書くこともありますが(この Blog も Markdown で書いています)、日本語の原稿など長文を書くときは、Microsoft Office Word の機能が役立ちます。
役立つ機能として、スペルチェックと文章校正があります。Word 2013 の文章校正機能をまとめてみました。
文書校正機能は完璧ではありませんが、役立たないわけでもありません。他人の原稿をチェックするときなど、Word に貼り付けてさくっとチェックするという使い方もできます。うまく活用してみてください。
スペルチェック
まずは、英単語のスペルチェック機能です。スペルチェックは、英単語の辞書さえあれば簡単に実装できるので、チェック可能なテキストエディターも少なくないかもしれません。
IT の固有名詞もある程度、登録されている印象です。なければ、辞書に追加していきましょう。ソースコードまで Word に記載してしまうと、検出数が多くなり有用ではありません。
ちなみに、英単語であれば、辞書の表示、類義語の表示、発音の確認などもできます。
文章校正
次は、文章校正の「文書のスタイル」機能です。
詳細設定で、次の項目の各規則を ON/OFF できます。
- 誤りのチェック
- 表現の推敲
- 表記の揺れ
- 表記の基準
以下に全規則の内容を紹介します。
誤りのチェック
入力ミス
不自然な日本語ではないかと思われる箇所をチェックする機能です。
同音語誤り
よく間違って使われる同音語のチェックです。
誤り語・誤り表現
誤り語は、よく間違って使われる表記や表現。誤り表現は「さ」入りなど間違った用法される表現のチェックです。
仮名遣いの誤り・旧仮名遣い
「じ」と「ぢ」、「ず」と「づ」などの仮名遣いが、誤っているもの、または現代仮名遣いでないものをチェックします。
表現の推敲
表現の推敲の機能では、日本語として間違ってはいませんが、わかりにくい表現などが使われていないかをチェックできます。
くだけた表現
話し言葉などをチェックします。上記の「すごい」は本来、名詞などの体言を修飾します。
「の」の連続
「の」が3つ以上連続していないかをチェックします。
その他の助詞の連続
同じ助詞が連続していないかをチェックします。
助詞の用法
「~とが」は二者を対比して「~と~とが」の形で用いられますが、対応する「と」がないなど、助詞の用法の不整合をチェックします。
Word 2002 からの機能のようでインタビュー記事を見つけました → News:開発者に聞く「Word日本語文書校正ツール」進化の跡
重ね言葉
同じ意味の言葉が二重に現れた、冗長な表現のチェックです。
当て字
当て字は、漢字本来の意味と関係なく音・訓だけを借りて用いたり、意味だけを借りたりした語です。
副詞等の呼応
「決して」や「必ずしも」といった副詞は、原則的に否定表現と共に用いられます。このような副詞に呼応する表現が抜けていないかをチェックします。
あいまいな表現
「ように」と否定形と用いると、「いつもは譲っている」のか「いつも譲れない」のかの解釈がありえます。また、「および」と「または」の並列により、あいまいな表現になっています。このような、あいまいな表現をチェックします。
「が、」の多用
ひとつの文中に、接続助詞の「が、」が2つ以上ないかをチェックします。
連用中止形の多用
ひとつの文中に、連用中止形が2つ以上ないかをチェックします。連用形を用いると、長文をつないでいくことができます。むやみに文をつないでいないか確認します。
二重否定
二重否定をチェックします。修正を要するものではありませんが、二重否定が頻出すると悪文になりがちです。
文語調
文語調をチェックします。修正を要するものではありませんが、文語調が頻出すると読みにくくなることもありえます。
受動態
受け身をチェックします。受動態自体は悪いものではありませんが、頻出すると、翻訳調になったり、すっきりした文章でなくなったりしがちです。
表記の揺れ
表記の揺れは、よく使う機能ではないでしょうか。自分の中ではルールがあっても、他の人の文章をチェックしたり組み合わせたときに便利です。
カタカナ、送り仮名、漢字/仮名、数字、全角/半角のチェックがあり、送り仮名と漢字/仮名は辞書を利用していると思われるので、どんなパターンでも検出できるわけではありません。
表記の揺れている単語は、どちらかに一括置換することもできます。
表記の基準
表記の基準では、漢字を常用漢字に限定したり、送り仮名の基準や全角・半角の規則を指定したりできます。
漢字レベル
「常用漢字表」(昭和56年、内閣告示)の漢字のみ、小学生で習う漢字のみなど、使用できる漢字に制限がある場合は、漢字レベルのオプションが使えます。
常用漢字外の読み
常用漢字表にない読みで、漢字が使われているものをチェックします。
送り仮名の誤り
IME を利用していれば、間違うことはありませんが、送り仮名の誤りをチェックできます。「送り仮名の付け方」(昭和48年、内閣告示)による「本則」「許容」以外の送り仮名を誤りとして扱います。
送り仮名の基準
送り仮名の基準を「本則」「公用文」から選べます。
- 本則: 「送り仮名の付け方」(昭和48年、内閣告示)による「本則」
- 公用文: 「公用文における漢字使用等について」(昭和56年)に準拠
仮名書き推奨
仮名書きが推奨される基準を「一般」「公用文」から選べます。
- 一般: 出版業界や各社マニュアルなどの規則を参考した表記基準
- 公用文:
文体
文体を「です・ます」体、「だ・である」体から選べます。
全角・半角の統一、句読点の統一
カタカナ、英文字を全角・半角に統一されているか、句読点を「。」と「.」、「、」と「,」どちらかに統一されているかチェックできます。
商標・商品名
一般名詞と勘違いされやすい商標・商品名が含まれていないかチェックします。
Word の機能は以上です。
Word 以外のオンライン校正ツール
最後に、Word 以外の日本語の校正に使える Web サービスも紹介しておきます。併せて活用すると良いかもしれません。
オンライン日本語校正補助ツール
オンライン日本語校正補助ツール は、Yahoo! デベロッパーネットワークの校正支援 API を使用して入力したテキストの問題点をチェックします。
Enno
Enno は、日本語のタイポ/変換ミス/誤字脱字エラーをチェックできる Web サービスです。