データ通信専用 SIM で119番通報できないときに、iOS/Android アプリ「火事・救急通報ナビ」
以前から勉強会では作りかけと紹介していたニッチな iOS/Android アプリを仕上げて Pronama LLC アカウントでリリースしました。
火事・救急通報ナビ
火事・救急通報ナビは、データ通信専用 SIM 使用時など119番通報できないときに通報を手助けするアプリです。
データ通信専用 SIM 使用時など119番通報できないときに、近くの消防局・消防本部の固定電話番号を検索し、IP 電話アプリを起動できます。近くの消防局・消防本部に電話し、火事または救急の緊急通報であることを伝えてください。
警察署を調べられる「緊急通報ナビ(Android、iOS)」はあるけど、消防署版がないという話を見て作り始めましたが、公開直前のところまで作って半年近く未リリースのままでした。
火事・救急通報ナビは、使う機会がまずないアプリかと思いますが、近所や全国の消防本部を眺めて見るだけでもおもしろいかも?
※ 119番通報できる場合は、119番に通報してください(近くに携帯電話を持っている人がいる、固定電話、公衆電話など)。
使い方
近くの消防本部を地図上から選び(起動時に現在地から近い消防本部が表示されています)、吹き出しをタップすると電話等のメニューが開くので、電話アプリの選択または、電話番号のコピー、Web 検索をしてください。アプリで表示される電話番号は、代表等の番号1件です。
iOS
Ver. 1.0 でサポートしているアプリは下記の通り。
- 050 pluss
- AGEphone
- LINE Out
- SMARTalk
開発者向けの話: その他 IP 電話アプリで、電話番号を渡せるカスタム URL Scheme を教えていただければ対応します。 ※ 確約できませんが、日本語アプリは対応しようと思います。
Android
Android は「通話アプリ」を選択すると、選択した電話アプリのダイヤルパッドを表示します。Ver. 1.0 では、ダイヤルパッド表示に対応していない下記のアプリもサポートしています。
- AGEphone
- LaLa Call
- LINE Out
- SMARTalk
動作テスト
地図の現在地に動作確認用のマーカー(ピン)があります。使われていない番号(06-0123-4567)に発信テストできます。
消防本部の固定電話への通報について
消防本部の固定電話への通報の是非ですが、119番通報できる場合は、119番に通報してください。直接指令室に接続され、位置情報通知システムも利用されます。
ただし、固定電話へ通報も可能です。総務省消防庁 刊行の「消防の働き」に、119番通報できない電話の場合、消防本部の電話番号を控えておくと良いという記載もあります。一部の消防本部の Web サイトでもそのように案内されています(119番通報するように記載さいている消防本部もあります)。
消防本部、消防署等の機関に通報されることは、日常的にあることで、その旨を伝えれば適切に指令室等へつないでくれるそうです。総務部などの代表番号への電話も、夜間は指令室等へ転送されるようです。
また、消防本部により管轄地域が異なりますが、管轄外地域の通報を受けることも日常的にあり、その場合も管轄する消防本部へつないでくれるそうです。
消防本部、消防局、消防署の違い
消防本部は、市町村及び特別区が当該区域における消防事務を行なうために設置する常備消防機関です(Wikipedia より)。
消防本部の名称は、条例で定められています。約1割の消防本部が、名称に消防局を用いています。
消防署は、人口規模などに応じ、消防本部のもとに設置される機関です。
つまり、アプリとしては、消防本部の電話番号を網羅すれば、最小数ですべての地域をカバーできます。
ちなみに、東京23区の消防本部のみ(市町村ではなく)東京都が設置した東京消防庁があります。
消防本部の一覧
消防本部を使いやすい形で一覧になっているデータはありませんでした。
アプリでは、総務省消防庁 刊行の「全国消防便覧(平成27年度)」をもとにリスト化し、調べた範囲で最新情報に更新しています。
この消防便覧は、各消防本部が提出した資料をまとめたもので、微妙に表や段落等の構造も違い、ルビ等も混じっているため、リスト化は半手動で苦労しました。消防便覧担当部署に問い合わせたところ、消防本部の電話番号をまとめた Excel 形式などのリストはないとのこと。
2016年5月時点で、消防本部の数は749です。
※ 消防本部の新設・統廃合など新しい情報があれば教えていただけると幸いです。
ちなみに、一覧の参照は下記も参考になるかもしれません。ただ、消防便覧 + 手動更新のデータとは一致していませんでした(2016年5月頃時点)。
消防本部一覧 Excel ファイル
作成した消防本部一覧を公開します。自由に利用してください。アプリでは、名称・住所・電話番号のみ使用しています。総務課等の情報がないため使いにくいかも。機会があれば項目を増やしたいです。
消防本部の経緯度
消防本部の経緯度をまとめたものは、国土数値情報 消防署データの詳細 があります。ただし、情報が古い上に、有償刊行物を使用し作成したもので商用利用できず、企業アカウントのアプリでは使い辛いです。
アプリでは、Google Maps を使い、住所から経緯度を求め、人手で位置を確認・修正したデータを用いています。
余談ですが、既に廃止された?郵便番号を使っている消防本部が2~3件ありました。
救急専用の電話番号
アプリでは対応していませんが、救急に関して、救急車を呼ぶか・病院に行った方がいいか相談できる電話 #7119 もあります(一部の地域のみ)。こちらもデータ通信専用 SIM では通常できませんが、転送されるセンター等の固定電話を控えておくといいでしょう。
また、小児救急電話相談(#8000) もあります。
アプリの開発
開発者向けの話。
アプリは、Xamarin.iOS と Xamarin.Android で開発、MvvmCross を使用しています。クロスプラットフォーム開発環境ですが、位置情報程度しか共通化できていません。ダイアログ表示など抽象化・共通化できそうなことも、少し見た目にこだわって別々にコードを書いています。
Google Maps API を使用したデータのため、iOS も地図表示は Maps SDK for iOS を使っています。Xamarin 用の Maps SDK(Google 製ではない)は、吹き出し表示がバグっているようで、試行錯誤でバグ回避に苦労しました。
内容に関して
アプリおよびこの記事は、消防機関等の Web サイトや、総務省消防庁および東京消防庁に質問した内容をもとに作成していますが、なんら消防機関等とは関係ありません。また、内容・動作も保証できませんので、あらかじめご了承ください。
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