もふもふ(モフモフ)の初出はこれだ!(暫定)

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先日、オノマトペの「もふもふ」の初めて使用されたのはいつか?という話題を見かけたので、さらに古いものがないか簡単に調べてみました。もふもふに関する論文等もあるようですが、それらは今回調べていません。

もふもふとは

辞書によると次のように説明されています。

デジタル大辞泉

もふ‐もふ
[副](スル)動物の毛などが豊かで、やわらかいさわり心地であるさま。名詞的にも用いる。「―した子猫」
[形動]に同じ。「―なヒヨコ」
[補説]「子ウサギをもふもふする」のように、動詞的に用いて、のような物をなでたりさすったりすることにもいう。2000年代後半頃から広まったとみられるインターネットスラング。
出典: デジタル大辞泉(小学館)

スーパー大辞林

モフモフする
ネット利用者の俗語で,動物などが毛や羽をふさふささせていること。または人が動物などがふさふさした部分を撫(な)でたり揉(も)んだりして,その感触を楽しむこと。モフる。
出典: スーパー大辞林(三省堂)

これまでのもふもふ初出の話

食べるモフモフ

食べる動作を表す「モフモフ」が、動物のもふもふより先に使われたという話があります。

筋肉少女帯のアルバム「レティクル座妄想」(1994年4月21日リリース)に収録された楽曲「香菜、頭をよくしてあげよう」の歌詞に登場します。

モフモフと ジャムパン
食べている君の横では僕は
ウムム!と考える
出典: 「香菜、頭をよくしてあげよう」(作詞:大槻ケンヂ)

その後、パンを食べる動作として漫画やライトノベルでの用例があるようです。

2001年刊行の武井宏之の漫画作品『シャーマンキング』第14巻において、ハオがパンを食べる様子を表す言葉として使われている。また2003年刊行の高橋弥七郎のライトノベル作品『灼眼のシャナ』第5巻における、メロンパンの食べ方に関する語りの中で「モフモフな部分」という用例がみられる。
出典: Wikipedia (投稿時点)

動物のもふもふ

いつしか動物の毛並みなどを表す「もふもふ」の用例が定着していきます。

2000年代の動向については、参考にした「もふもふ」は、いかにして生まれたのか や、Wikipedia に記載があります。

それらよりも早く1998年に動物のもふもふとして使い始めたのが、岡安モフモフ氏です。

1998年に自分が「毛がふさふさした犬の名前」っぽいハンドルネームとサイト名として使い始めて、多数の雑誌、ラジオ、テレビに掲載されていた。
出典: x.com

下記の投稿のリプライにもふもふに関する一連の投稿があります。

古いモフモフを探す

  • 食べるモフモフ → 1994年の歌詞に用例がある
  • 動物のモフモフ → 1998年に使い始めたハンドルネーム

以上が、簡単な経緯です。

さて、国立国会図書館デジタルコレクション で「もふもふ」「モフモフ」を検索すると、1990年代前後に気になる結果があったので内容を確認してきました。

最古の動物のもふもふ(暫定)

1997年1月号増刊の「コミックゲーメスト」(新声社)から、「設定資料館」という記事に「もふもふしたシッポ」の記載が登場します。文章はみくに葵氏。サン電子のゲーム「わくわく7」のキャラクターを紹介しています。

長ぁい耳、焦点の合ってないネコ目、垂れた口元、もふもふしたシッポ…と、何処を取っても満点の一級品と言えるまるるんのナイスバディ。
出典: 『コミックゲーメスト』5(1)(41),新声社,1997-01, p.50

『コミックゲーメスト』5(1)(41),新声社,1997-01. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1848965 (参照 2024-08-15)

最古の食べるモフモフ(暫定)

食べるモフモフも古いものが見つかりました。

1987年7月号の「フレッシュジャンプ」(集英社)から、「とんとん飛丸」(漫画: ひすゎし)に、モフモフのオノマトペが登場しています。

集英社 [編]『フレッシュジャンプ』5(7)(46),集英社,1987-07. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1831416 (参照 2024-08-15)

それ以外のもふもふメモ

国立国会図書館デジタルコレクションで、1990年前後に見つかる上記以外の「もふもふ(モフモフ)」も確認しました。

(日付が古い順)

コミックバーガー 3(17)(44) 雑誌 (スコラ, 1988-09)

「モフモフ」は、OCR結果の誤りで実際は「モコモコ」。

週刊現代 33(1)(1624);1990・12・22/1991・1・1 雑誌 (講談社, 1991-01)

『週刊現代』33(1)(1624),講談社,1991-01. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/3372637 (参照 2024-08-15)

漫画「らくてんパパ」(植田まさし)より、口に綿を含んで別の人物として電話しているところです。

おまじないコミック 8(3)(79) 雑誌 実業之日本社 [編] (実業之日本社, 1993-03)

「(モフモフ)」は、「みんなのおまじないコーナー」の投稿者のペンネーム。由来は不明。

徳島市史 第4巻 (教育編・文化編) 図書 徳島市史編さん室 編 徳島市教育委員会, 1993.10

もふもふのおどり

沖浜の神踊の説明で、沖浜のテンテコテン踊 十二番のうちのひとつ。嘉永四年(1851年)以来四か年続いた旱魃(かんばつ)のため中止されたと記載があります。読みは「もうもう」のおどり?

ASCII 17(12)(198) 雑誌 (アスキー・メディアワークス, 1993-12)

作者◾️昌昌(NIF:HGF02244)
プログラム名◾️もふもふT’sV1.01エミュレーター版
出典: 『ASCII』17(12)(198),アスキー・メディアワークス,角川グループパブリッシング,1993-12. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/3250795 (参照 2024-08-15)

もふもふの由来は、『モーフィングツール「もふもふ」の強化版』のようです。

SFマガジン 35(2) 雑誌 (早川書房, 1994-02)

空は青く、モフモフと柔らかそうな雲が空の低い所を泳いでいた。
出典: 『SFマガジン』35(2),早川書房,1994-02. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/4411286 (参照 2024-08-15)

食べるでもなく、動物でもなく、柔らかいを表現した中間的な用例かもしれません。

まんがシャレダ!! 3(10)(37) 雑誌 (ぶんか社, 1994-10)

『まんがシャレダ!!』3(10)(37),ぶんか社,1994-10. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1861383 (参照 2024-08-15)

漫画「臍下の快楽」(安彦麻理絵)より、食べるモフモフの用例です。筋肉少女帯のアルバム「レティクル座妄想」(1994年4月)より後の作品。

月刊少年ギャグ王 5(3)(47) 雑誌 エニックス [編] (エニックス, 1998-03)

エニックス [編]『月刊少年ギャグ王』5(3)(47),エニックス,1998-03. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1858798 (参照 2024-08-16)

漫画「KIBA!」(村上ゆみ子)より、食べるモフモフの用例です。

小説新潮 53(12)(667) 雑誌 (新潮社, 1999-12)

彼女はお土産屋で買ったへそまんじゅうをモフモフと頬張りながら
出典: 『小説新潮』53(12)(667),新潮社,1999-12. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/6075298 (参照 2024-08-15)

エッセイ「スイカちゃんと熱海でお別れ オーケンの行けばわかるさ」(大槻ケンジ)より。歌詞以外でもこの表現を使っていたようです。

それ以外のもふもふメモ(性的な表現)

上記の「それ以外のもふもふメモ」以外に、別の用例もありました。用例を明らかにするため記録しておきます。

新潮45 10(6)(110) 雑誌 (新潮社, 1991-06)

「純。もふ、もふって言ってみろ」
「もふ、もふって、何?」
「もう、もうって意味だ。江戸の春本によく出てくる女のよがり声で、もう、もう、死にそうとか、もう、もう、堪忍してとかいう意味だ。もふ、もふって言え」
出典: 『新潮45』10(6)(110),新潮社,1991-06. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/3374738 (参照 2024-08-16)

週刊ポスト 24(5)(1129);1992・1・31 雑誌 小学館 [編] (小学館, 1992-01)

あの字ふの字抜きであふあふもふもふさせる工夫を凝らした。
出典: 小学館 [編]『週刊ポスト』24(5)(1129),小学館,1992-01. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/3380291 (参照 2024-08-16)

まんがガウディ (3) 雑誌 (ぶんか社, 1996-02)

漫画「はじめの一歩」(胡桃ちの)に、「もふもふ」ではなく「ふもふも」のオノマトペ。ベッドで男女が抱き合っているコマ。

週刊現代 38(6)(1874);1996・2・17 雑誌 (講談社, 1996-02)

「アレサ、もふもふもふ、ほんとうに」と男の首にしみ付き
『週刊現代』38(6)(1874),講談社,1996-02. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/3372887 (参照 2024-08-16)

※「しみ付」の部分は、本のノド部分に記載されており、デジタルコレクションで見える範囲は「しみ(改行)付き」

おわりに

以上、国立国会図書館デジタルコレクションからわかるもふもふ(モフモフ)の用例でした。より早い用例を知っている方は情報お願いします。

普段は、MICR書体やナショ文字の情報を収集しています

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Posted by jz5