自作PC・MOD PCコンテスト作品「X68030 PROnama-68K」

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プロ生ちゃん自作PC・MOD PCコンテスト2020 の作品紹介だよ!! エントリー No.6 は EXCEED. さんの作品「X68030 PROnama-68K」!

ーー作品の概要を教えてください!

EXCEED. 電源と FD ドライブが抜かれたジャンク状態で、ネットオークションに出品されていたレトロ PC「X68030」を入手し、それをリビルド(修理&洗浄)して、失われてしまった FD ドライブの代わりに、FD ドライブエミュレータを内蔵させ、電源装置の空きスペースを使用し、本体内に「しゃべる」プロ生ちゃんフィギュア(基板)を入れました。

外観です。見た目は普通の X68030 です。
側面を明けると中はこうなっています。
プロ生ちゃん音源基板のアップ画像です。

修理過程です。

販売ページ。電源とFD ドライブを抜かれて、すっからかんの状態。
とりあえず、全分解して中身の損傷具合を確認します。
コンデンサ交換。経年劣化したコンデンサから電解液が漏れ出した状態で通電したものと思われるショートによる炭化および、腐食した状態の基板と(左画像)それを修理したもの(右画像)
筐体の分解確認と洗浄1
筐体の分解確認と洗浄2
筐体の分解確認と洗浄3

ーー作品でこだわったところを教えてください!

EXCEED. 元々、空きスペースに独自設計のロースペック FM 音源 (YM2413) 基板と自前の粘土フィギュアを内蔵させる予定で、単純に FM 音源から BGM が演奏され、賑やかしに LED をピカピカ光らせるだけのものだったのですが、偶然にも、設計した基板のサイズが、DMM.make クリエイターズマーケットで、3Dプリントできる「プロ生ちゃんフィギュア」と、ぴったりだったのと、ネットで、このチップの情報を調べていたら、海外でこの FM 音源 (YM2413) にて、高音質な PCM 音声の再生に成功された方(Laurens Holst さん Twitter: https://twitter.com/Grauw)がいらっしゃって、その方(たち)の公開技術情報を拝見した所、意外と実装は簡単にできそうでしたので「折角なので、MP3 音源などを追加するのではなく、FM 音源でプロ生ちゃんに喋ってもらおう!」と、路線変更して奮闘しました。

プロ生ちゃん基板作成過程です。

音源基板と、DMM.make クリエイアーズマーケットで 3D プリントしてもらった石膏のプロ生ちゃんフィギュア
プロ生ちゃんの音声やクリスマスソングなどを制御および、それらデータを内蔵するマイコンチップです。
半田付け ColdFireマイコン
チップ抵抗を交換するための秘密兵器
音声のアンプユニットの利得を変更するために、チップコンデンサを交換します。なお、シートの升目のサイズは 1cm×1cmです。
部品の半田付けの完了です。
そのままプロ生ちゃんフィギュアを乗せてしまうと、半田フィレットで大事なフィギュアに傷がついてしまうので、このようにゴム足で高さを稼ぎます。
最後にフィギュアを載せて完成です。

その他、抜き取られていた FD ドライブの変わりに、GIMONS さん(Twitter: @kugimoto0715)が製作された FD ドライブエミュレータ「FDX68(Raspberry Pi3 シールド)」を使用しますが、本来これは「本体外付け」を想定した機器であるため、これを X68030 本体に内蔵させるにあたり、本体の FD アクセス LED を FDX68 からシミュレート制御、および、FDX68 本体のマウンタ(固定具)となる拡張基板(NXP HCS08マイコンで制御)を独自で設計し、FDX68 専用の制御ソフトウェアの改変も独自に行っています。

FDX68は、本来、このように外付けで接続します。(左: Raspberry Pi3 MODEL A+と接続 / 右: Pi 3 MODEL B+と接続)
FDX68 を本体に内蔵できるように、さらに独自基板で拡張し、魔改造したもの
本体内蔵後の様子


また、FDX68 は Raspberry Pi3 でもあるため、それ自体を制御(設定)するために、HDMI ポートおよび USB ポートの使用が不可欠となってくるため、これらポートを安全に本体の外に引き出すために、すでに不要となった元々の純正端子である「外付け FD ドライブ増設端子(EXPANSION FDD 端子)」を撤去し、そこに Raspberry Pi3 の HDMI および、USB 端子を外部に出すための独自設計基板(端子固定用基板)を増設し、X68030 と Raspberry Pi3 が同時に起動する(運用できる)ハードウェアとなりました。

拡張端子基板概観。電源供給端子とメス-メス変換になります。
端子を差し込んだ状態。純正外部 FDD 拡張端子基板固定具に装着します。
装着後の概観です。

抜き取られていた電源に関しては、超小型 ATX 電源「picoPSU」を X68000/X68030 に内蔵させるキット(改造品)を販売されていた、さーくるりんご汁さん(Twitter: @applesorce)のものを内蔵させ、AC アダプタで駆動する本体となっています。

picoPSU の形状の問題で、ねじ締め固定ができないため、プロ生ちゃん基板ケースの外に強力テープで貼り付け、結束バンドで落下防止対策を行っています。

その他、本体に対して「穴あけ加工」や「切削加工」などは絶対に行わない方針で実用レベルまで復元しました。

ーーこだわりを感じるよ。作品のスペックを教えてください!

  • 商品名: SHARP Personal workstation X68030
  • 型番: CZ-500C
  • CPU: MC68EC030 25MHz
  • RAM: 12MB
  • ストレージ: 32GB Compact Flash(OS の関係上、同時使用可能な領域は最大で約16GB)
  • FDD エミュレータ: FDX68 (Raspberry Pi3 MODEL A+)
  • 外部拡張端子(自作基板): USB および HDMI (Raspberry Pi 3A+用)
  • 内蔵FM音源基板(自作): NXP(freescale) ColdFire V1 MCF51QE128 / YAMAHA YM2413

ーー私(プロ生ちゃん)の好きなところを教えてください!

EXCEED. 元気で活発で常に前向きな所ですね。これからも益々のご活躍を期待しています。

ーーありがと~! その他、アピールしたい点あれば教えてください。!

EXCEED. ほぼ余談なのですが、プロ生ちゃんの声を出すために必要なCコンパイラは、当時38万円で購入しました(笑) このコンパイラ(CodeWarrior Development Studio)は、有償版と無償版(厳密には有償部分と無償部分)があり、今回のプロ生ちゃん音声のような大容量のデータをマイコン内の FlashROM に書き込むには、有償版が必要になりますが、今回、プロ生ちゃんのおかげで、初めて「有償部分」を使うことになり、やっとこのコンパイラを成仏(?)させることができました(笑)

ーー38万円! 応募ありがとうございました💛 実際の動作は、動画をチェック!

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都内の公立高校に通う高校生。部活は、情報処理研究会。身体を動かすのも好きで、気が向いたときはなぜか体育会系の部活に混ぜてもらっていろんなスポーツをすることも。プログラミング生放送のキャラクターとして活動中!